各受賞プロジェクトのご紹介

2021年度の優れたマーケティング活動を表彰する「日本マーケティング大賞」選考委員会(選考委員長・牧江邦幸 日本経済新聞社 執行役員 メディアビジネス担当 )は、「第14回日本マーケティング大賞 グランプリ」に、「スーパードライ イノベーティブマーケティング~With コロナ時代の新しいビール飲用価値~/ アサヒビール株式会社」を選出しました。

また、「準グランプリ」に、「KATE「no more rules.」パーパスブランディング」を選出、奨励賞5件、地域賞3件を選びましたので発表します。

 

日本マーケティング大賞
選考基準
総合的に周到なマーケティング計画のもと、市場へのインパクト、独自性、ブランド定着性など、目覚ましい成果を上げたプロジェクトを選考委員会で選定。

スーパードライイノベーティブマーケティング~With コロナ時代の新しいビール飲用価値~
アサヒビール株式会社

 

受賞理由

コロナ禍におけるビール飲用のインサイトを捉え、スーパードライ(以下 SD)から消費者が心から感動するイノベーションを提供する事に挑戦。

「SD 生ジョッキ缶」は、“缶ビールなのに、まるでお店の生ジョッキ”をコンセプトに新発売。商品特長としてフタが 360°開き、きめ細かい泡が自然に出てくるので、ジョッキのようにゴクゴク楽しめる事、フタや飲み口は手や口が切れない安心設計である事が挙げられる。発売後、体験したお客様が次々に SNS へ発信し社会現象に。お客様が一気に集中した結果、全業態発売後の翌日に一時休売となった。

また「SD VIRTUAL BAR」では、“会えなくたって、乾杯!”をコンセプトに、日本でいち早く「オンライン飲み会」を開催。1 度に 1000 人が集まれるプラットフォームでイベントやゲームを楽しみつつ、1000 人で乾杯するという今までにないブランド体験を提供。新時代の新しい乾杯のカタチを作った。

 

日本マーケティング大賞 準グランプリ
選考基準
グランプリに準じる成果を上げたプロジェクトを選考委員会で選定。

ロナ禍のピンチをチャンスに!300 万個売れるヒット商品&週間 200 万回利用の顧客体験変革で堂々のメイク市場 No.1 達成!KATEno more rules.」パーパスブランディング 
花王株式会社「KATE

 

受賞理由

コロナ禍でメイクをする機会が減り、厳しい状況にあるメイク市場において、「no more rules.」(自分を縛る、ルールを壊せ)というブランドパーパスを起点に、「メイクにもっと自由を」という想いを、商品開発から顧客体験に至るまで、一貫して実現すべくパーパスブランディングへシフト。

マスクもメイクという、メイクの枠を超えた小顔シルエットマスクや、マスクをしていてもオシャレをしたいインサイトを捉えた、マスクを外しても色落ちしにくいリップモンスターの発売によって、メイク市場に新たな価値を提案。更に、コロナ禍における行動制限を、デジタル転換のチャンスと捉え、新しい自己表現メイクを 1to1 でサポートする LINE 公式アカウント内サービス「KATE MAKEUP LAB.」の開設、店頭での非接触型体験を可能にしたデジタルテスターなど、コロナ禍でも喚起した興味を逃さず顧客化するデジタル体験を創造し、顧客とつながりながら継続した情報発信を実現。

パーパスブランディングと DX でコロナ禍でのピンチをチャンスに変え、メイク市場全体で売上シェア No.1 を獲得。

 

 

日本マーケティング大賞 奨励賞
選考基準
独自性や先行性、社会課題解決性、新しいマーケティングの芽など、規模は小さいながらもキラリと光るマーケティング・プロジェクトを選考委員会で選定。

一夜限りの「流れ星新幹線」特別運行 
九州旅客鉄道株式会社

 

受賞理由

九州新幹線開業から 10 周年の節目を迎え、コロナ禍の日本、九州に希望の光を灯し、明るい未来を自分たちの手で繋いでいくため、新たなプロジェクトを発足した。

これまでの感謝の気持ちと、明るい未来を願って、一夜限りの「流れ星新幹線」を特別運行するという前代未聞の計画である。

そして、2021 年 3 月 14 日、全国から寄せられた 8,350 点の願いを乗せて、「流れ星新幹線」が特別運行。沿線、ビューイング特設会場及び同時中継によるオンライン配信等、それぞれの場所やそれぞれの方法で多くの方々がこのイベントにご参加いただいた。

運行後の「流れ星新幹線」の反響は大きく、これまで築いてきた地域の皆さまとの絆を改めて感じることができたプロジェクトとなった。

 

なくそう、おうちのフードロス。「B 面レシピプロジェクト」
株式会社 Mizkan

 

受賞理由

「食品ロス」は世界的な社会課題である一方、「規模が大きすぎる」「一部の意識高い人の取り組み」と多くの生活者とはまだまだ距離がある。

より身近な解決策を見出すために、ミツカンが着目したのは「従来のレシピのあり方」。実はレシピには「1/2 個」や「1/3 本」などの分数表記が多いため、レシピ通りに調理すれば自然に食材が余り、家庭の「食品ロス」を引き起こしてしまう。

そこで、余った食材でもう1品作れるレシピを提案し、食品ロス削減を目指す「B 面レシピプロジェクト」を始動。中でも食材をたくさん使う「鍋」の「B 面レシピ」を広げるために、ミツカンの主力商品である「鍋つゆ」のパッケージ裏面に B 面レシピを記載し、販売した。

「ごま豆乳鍋」の余り食材から「天津飯」が、「焼きあごだし鍋」から「あんかけ焼きそば」が作れるなど、「普段の料理」という小さな日常のアクションから食品ロス削減に自然に参加できるきっかけを提供した。。

 

『剃るに自由を』 コミュニュケーション
貝印株式会社

 

受賞理由

刃物メーカーである貝印は、10代~20代のブランド認知率が低下し、ブランド高齢化が課題にあった。そこで、若年層が多様な価値観を持ち始めてることに着目。

100 年以上お客様に寄り添ってきた貝印は、剃る剃らないの自由な選択ができる世の中を目指し、『剃るに自由を』をテーマにコミュニュケーションを実施した。

第1弾は、バーチャルモデルを起用し、『剃るに自由を』を訴える広告を、若年層が集まる渋谷で実施。第2弾は、正しい剃り方や毛の知識を学ぶための本『FIRST SHAVE BOOK(ファーストシェイブブック)』を開発し、渋谷や教育機関で配布した。

結果として、若年層の認知率が 10%増加し、ブランド高齢化の解決を果たした。。

 

~工場で生まれるふぞろい品の発売でフードロス削減へ~
『ジャイアントカプリコ<いちご>ふぞろい品』

江崎グリコ株式会社

 

受賞理由

工場の製造過程でチョコレート部分に空洞が出たり、形が少し欠けたりしたジャイアントカプリコを 10 個詰め合わせた「ジャイアントカプリコ<いちご>ふぞろい品」を発売。

製造工程で発生するふぞろいな形の製品を無駄にすることなく、フードロス解決の一助につなげたいとの思いから、社内の製品化基準を見直し、販売につなげた。社会課題として多くの消費者が関心を持っている「食品ロス」に対して、ユニークなアプローチで気づきを促すことができた。
「カタチがふぞろいだけどおいしさは変わらない、ふぞろいさも個性の一つとして認めて欲しい」というコミュニケーションも合わせて実施。

若年層を中心として SNS での支持が広がり、発売日には多くの方が江崎グリコのショップ「ぐりこ・や」に来店され、各メディアの報道に取り上げられた。

 

日本初!自治体が運営する移住の共創型オープンプラットフォーム「リモート市役所」
長野県佐久市

 

受賞理由

「リモート市役所」 とは、自治体初となるビジネスチャットツール Slack を活用した移住のオープンプラットフォームです。リモート市役所上で、佐久市や移住について、気軽にやりとりができ、参加者同士で交流が持てるサービスとなっており、2022 年 5 月現在で参加者数は 1700 名を超えました。

そして、「市民」や「移住希望者」、「関係人口」、「リモート市役所課長」、「職員」など、移住はしないけど応援したい、関わり合いたい人が、自身と佐久市への関係性や関わりしろに応じた「リモート市民」の枠組みも作りました。
また、このプラットフォームは、リモート市民同士の交流だけでなく、アイディアプラットフォームとしても活用できるようにしています。

このアイディアプラットフォームから 5 カ月で、移住希望者のための WEB サービス「Shijuly(シジュリー)」や、オンラインイベント「職員カイギ!」、ラジオ「FM リモート市役所」という 3 つのアイディアを具現化しました。

 

日本マーケティング大賞 地域賞
選考基準
優れたマーケティング・プロジェクトであることに加えて、経営資源が地域にあること、地域活性化に資すること、地域の特徴を活かした事業であることが条件。日本マーケティング協会の関西、九州、北海道支部でそれぞれ選考し、実行委員会・選考委員会が承認する。

モノづくりを実現する実学の実践拠点 THE GARAGE
学校法人近畿大学/関西地区

 

受賞理由

THE GARAGE は、大学と企業の垣根を超えたモノづくりの真剣勝負の場。地元東大阪や八尾の中小企業や教員、学生など、多様な個性をぶつけ合い、専門領域を超えた試行錯誤を繰り返しながら、共に社会問題に立ち向かう。

その具体的活動としては、
①東大阪のモノづくり企業が持つ特殊な素材を集めて常設展示す「MATERIAL ゾーン」設置。
地元企業の有する素材や新たな可能性を創造する素材などを展示。実際に手に取り、質感や重量などを直に感じることができ、施設に関わる地元企業、学生に対して、課題を解決する機会を提供。

②会員企業や学生・教員が自由に交流できる場の設置。
企業、学内リソースとを「マッチング」させ、新しいモノづくりに対する「コンサルティング」体制を確立。地元企業の課題や社会課題に対して、GARAGE を基点にモノづくりで解決していくための環境を整備した。

 

かしいかえん笑顔の閉園プロジェクト
西日本鉄道株式会社/九州地区

 

受賞理由

65 年にわたり多くの方々に愛された「かしいかえん」の閉園にあたり、その感謝の気持ちから、お客様・地域・従業員にとってスマイルエンディングとする為、「笑顔の花を咲かせましょ」のテーマのもと閉園施策を、西日本鉄道と西鉄エージェンシーで企画・実施し、12 月 30 日に無事閉園を迎えた。

①夢を咲かせようプロジェクト最後にやりたいこと、叶えたい夢を一般募集し、「結婚式」「スタッフになりたい」「地域の祭りをしたい」(地元校区)等 16 件を実現

②なつかしいかえんプロジェクト西鉄所蔵アーカイブ写真の園内展示や、思い出写真投稿、過去の催事ポスターを展示した特別列車運行など実施

③かしいかエンドレスプロジェクト閉園後も思い出を留めて頂きたいとの想いから、園内の花木等をプレゼントし、地域等に継承した④メッセージ企画近隣の九産大芸術学部や地元小学生が壁に樹などを描き、一般の方々が投稿したメッセージカード(花形)により満開となった。

 

未来のきみに贈る歌(#ミラ歌)
北海道新聞社(未来のきみに贈る歌実行委員会)/北海道地区

 

受賞理由

コロナ禍で部活や学校行事が中止になった高校3年生の思い出づくりを応援しようと、2021 年の卒業式シーズンに照準を当てて音楽、映像、新聞などを組み合わせた「未来のきみに贈る歌(#ミラ歌)プロジェクト」を展開。

北海道と道教委の事業の一環として、「GLAY」や北海道とゆかりのある著名人の協力を得て企画し、道内外50以上の企業・団体から協力、協賛を得て実施した。

3月1日の公立高校の卒業式に合わせ、高校3年生の写真と思い、著名人のメッセージなどを掲載した特集紙面を地域別に4タイプ展開。GLAYの楽曲にのせて、ミュージックビデオも 4 本制作してインターネット上で公開した。

さらに、その紙面と人気漫画「銀魂(ぎんたま)」のイラストとGLAYの写真入りの特製ギフトカードを道内の卒業生4万1千人に贈呈し、道内5か所で写真展も開催。

SNS を中心に[感動した」「泣ける」「なんて素敵な企画」といった共感の声が多数寄せられた。

 

第14回日本マーケティング大賞 概要

『日本マーケティング大賞』は、厳しい経済環境の中でも、企業・自治体・団体等の組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的として2007年に発表、第1回は2009年より実施されました。14回目となる本年は、日本の市場が成熟化する中で、成長につながる創意工夫が凝らされたプロジェクトが多くエントリー、厳選な審査の中から上記が選出されました。
対象活動
社会に新しく需要を喚起、あるいは市場を再活性した優れたマーケティング活動

<対象活動の具体例>
  • a 新たにマーケティングの概念を取り入れた企業やNPO、自治体等の活動
  • b 新しい価値の提案やトレンドを生み出した活動
  • c 生活者・社会との共存・共生/社会的課題の解決に貢献した活動
  • d 社内外、産・官・学とのコラボレーションを取り入れた活動、または生活者との共創
  • e BtoBビジネスや専門市場におけるマーケティングとして際立った活動
  • f グローバル市場で成果のあった活動
  • g マーケティングによりブレイクスルーをもたらした活動
  • h オリジナルな新しいビジネスモデルの構築
  • i 規模が小さくても、キラリと光る活動
  • j 地域特性を活かしたマーケティング活動
  • k 上記以外でも、今年を象徴するに値する新鮮な戦略提案(マーケティング提案)
対象範囲
日本市場における企業・団体・組織の活動、および日本法人の海外市場での活動
(自治体、NPO、大学・病院なども含む)
対象期間
2021年1月1日から2021年12月31日までの企業・自治体・団体の活動
推薦資格
日本マーケティング協会会員および日本マーケティング学会会員(自薦・他薦を含む)
審査方法
選考委員により、推薦資料を基に追加情報を含めて討議を実施し、選定
審査結果
2022年6月19日 「日本マーケティング大賞 表彰式」にて各賞贈呈
選考委員
「日本マーケティング大賞」選考委員会(産業界・学界から14委員)
選考委員長:牧江 邦彦(日本経済新聞社 執行役員役 メディアビジネス担当)
主  催
公益社団法人 日本マーケティング協会
協  力
日本マーケティング学会
後  援
経済産業省

 

 

2021.8月20日現在

(敬称略)

 

実行委員長 藤重 貞慶 JMA会長(ライオン㈱ 特別顧問)
実行副委員長 内田 和成 JMA理事長(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授)
委 員 石井 直 JMA副会長(㈱電通 会長(顧問))
石原 進 JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 特別顧問)
廣瀬 兼三 JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役会長) 
辰馬 政夫 JMA副会長(㈱電通 執行役員 関西支社長) 
高石 一朝 JMA専務理事

 

選考委員長 牧江 邦幸 日本経済新聞社 執行役員 メディアビジネス担当
選考副委員長 磯貝 智崇 アビームコンサルティング㈱ CRMセクター長兼執行役員

委 員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恩藏  直人 早稲田大学 商学学術院 教授
古川 一郎 一橋大学名誉教授、武蔵野大学経営学部長
杉谷 陽子 上智大学 経済学部教授
奥野 圭

㈱フォトワークス 企画開発部 企画開発部 チーフマーケター 
横浜商科大学非常勤講師

鈴木 禎久 ㈱電通 執行役員【JMA 理事】
岩崎 拓 ㈱博報堂 MDXユニット 執行役員【JMA 理事】
岡山 晃久 パナソニック㈱ コンシューマーマーケティングジャパン本部
コミュニケーション部 部長【JMA 理事】
鈴木 裕一 産業経済新聞社 取締役 営業統括 媒体統括【JMA理事】
吉田 竹毅 日本経済新聞社 コンテンツユニット ユニット長補佐
鈴木 由美子 ㈱ロッテ   マーケティング本部 情報クリエイティブ部 部長
清水 二郎 アサビビール㈱ マーケティング本部 副本部長 執行役員
久保田 哲 大日本印刷㈱ 情報イノベーション事業部DXセンター長

 

運営事務局 竹原 聖人 日本マーケティング協会 事務局長
川井 直人 日本マーケティング協会 研究開発局 エグゼクティブコンサルタント
河西 章宏 日本マーケティング協会 関西支部 事務局長
水戸 信之 日本マーケティング協会 関西支部 エグゼクティブマネージャー
和泉 宏 日本マーケティング協会 九州支部 事務局長   
梶原 仁 日本マーケティング協会 北海道支部 事務局長 
伊藤 梓沙 日本マーケティング協会 業務推進局