各受賞プロジェクトのご紹介

公益社団法人 日本マーケティング協会は、2015 年度の優れたマーケティング活動を表彰する「日本マーケティング大賞」選考委員会(選考委員長・原敏郎 毎日新聞社 常務取締役)は第8 回日本マーケティング大賞に、推薦プロジェクト総数170 件の中から『マツダ新世代車種群とBe a driver.による「クルマ市場の活性化」』(マツダ㈱)を選出、奨励賞5 件、地域賞3件を選びました。

 

日本マーケティング大賞

『マツダ新世代車種群とBe a driver.による「クルマ市場の活性化」』
マツダ株式会社

 

受賞理由

若者のクルマ離れが進む中で経済性が目につく傾向にあるクルマ市場において、同社は、モノづくりとマーケティング活動を一体化させて「走る歓び」を社会に提 案し、停滞していた国内自動車市場の活性化に貢献しました。海外でも、北米、欧州をはじめとする市場で好調な販売を記録しています。
「ロードスター」の「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」のダブル受賞に代表されるように、その商品 力、デザイン力は世界的に高い評価を得ています。同社のブランド復活劇は、様々なメディアで取り上げられ、日本経済と社会の再生に向けて勇気を与えたと称 されました。

「クリーンディーゼルエンジンに代表されるSKYACTIV 技術」、「魂動デザイン」等、同社の画期的な技術と斬新なデザインは、「走る歓び」を提供するという開発思想のもと、最上位から最廉価まで新世代車種群全 車種に同じテクノロジー、デザインコンセプトを投入して開発する、画期的な戦略を実践しました。「CX-5」、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」、 「CX-3」、「ロードスター」の新世代車種群は、クルマづくりへのこだわりが詰まった商品として、感度の高い消費者から評価を得ています。

新世代車種群を前面に押し出してスタートさせた「Be a driver.」キャンペーンでは、「退屈なクルマは絶対につくらない。」と広く宣言し、同社のブランド向上に大きく寄与しました。同時に、全社的な活動 を束ねるキーワードとなって、開発思想と商品戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション施策などが一体となって実績と結びつけることに成功、開発部門 から販売部門までマーケティング視点でつながったことは素晴らしいという評価の声がありました。

「CX- 5」、「デミオ」、「ロードスター」と過去4 年で3 回「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞、2016 年には「ロードスター」が「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」の2冠を達成し、世界的な評価も確固た るものになりました。グローバル市場だけでなく、低迷の続く国内市場で、2015 年の販売台数は国内乗用車メーカー8 社で唯一、前年越えを記録、2 年連続で最高益を更新中(2015 年3 月期時点)で、今年度のマーケティング大賞にふさわしい取り組みとして高い評価を受けました。

 

日本マーケティング大賞 奨励賞

北海道発の次世代型コンビニエンスストア 株式会社セコマ

 

受賞理由

コンビニの枠を超える地域密着型サービスの提供

地元北海道の食資源を活かし、生産・仕入れから製造、物流、小売りまで全てグループで賄うことにより、「500 円ワイン」、「100 円惣菜」など、大手ストアに勝る品質と価格のメリットを実現させました。プライベートブランドの数は1,000 品を超え、消費者の強い支持と高い顧客満足を獲得しています。北海道179 市町村のうち175 市町村に出店、地産・地消に貢献するとともに、高齢者の買い物難民化を防ぐなど、地域密着型の店舗としてコミュニティにおける役割も大きく、北海道内では 大手コンビニチェーンの追随を許さないポジションを築いています。

 

 

旅館再生から地方創生へ 鶴雅グループの地域活性化 鶴雅リゾート株式会社

 

受賞理由

企業再生と地域再生の成功

阿寒の魅力であるマリモ、大自然、アイヌコタンを地域づくりの柱にして地域の観光資源をブランド化、それらをテコとして用いながら自社の再生および事業拡 大に成功しました。同ホテルの館内カメラの設置、アンケート評価システムの導入などによって顧客サービスを大幅に向上させるなど、接客を徹底して科学的に マネジメントして成功に結びつけた手法は高く評価されています。同時に、「阿寒」を百年続くブランドにすべく「阿寒湖温泉再生プラン」の策定と実施に奔走 するなど、地域再生の主導的な役割も担っています。

 

話題性を背景にロングセラーを続ける小説「火花」 株式会社文藝春秋

 

受賞理由

低迷市場での爆発的ヒット作品

お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹氏初の長編小説で芥川賞を受賞した『火花』は、実売数240 万部、電子書籍のダウンロード数14万と、出版不況の中で2015年最大のヒットになりました。芸人に純文学を依頼した試み、作品を発表させたのが文芸誌 という媒体選択、ツイッターやファイスブックの活用による話題作り、吉本興業の芸人によるPR 作戦など、これまでとは異なるマーケティング手法でロングセラーを実現させました。普段は本を手に取ることが少ない若い読者が関心を示し、出版業界全体へ の波及効果も生じました。

 

 

ロングセラーブランド「ハイチュウ」40 周年のマーケティング 森永製菓株式会社

 

受賞理由

ロングセラーブランドの活性化

1975年の発売以来、商品ラインアップの拡充とご当地商品、海外進出などでブランドを確立してきた「ハイチュウ」。2015 年には発売40 周年を迎え、オリジナルフレーバーである「ストロベリー」味の大幅リニューアル、「ヨーグルト」をはじめとする話題性の高いフレーバーの限定販売、「驚愕 のハイチュウ」、「謹製ハイチュウ」など記念商品の開発、「ゴールデンハイチュウ」の発売、「映画ドラえもん」とのコラボなど、商品開発やコミュニケーション施策で新しい取り組みを実施し話題となりました。米国をはじめとする海外でも売れ行き好調で、ロングセラーブランド活性化の好例です。

 

生活者とともに、都市の未来の移動を開発する「OPEN ROAD PROJECT」
トヨタ自動車株式会社 コーポレート戦略部未来プロジェクト室

 

受賞理由

都市の移動課題解決を目指す新しいマーケティング活動

「OPEN ROAD PROJECT」は、都市の渋滞・駐車場問題を解決して、自由な移動実現することを目的にしたプロジェクトで、新しいモビリティの開発、ユーザーの移動体験のデザインなどを目指したスケールの大きな取り組みです。ユーザーとの共創、3D プリンターによる新しいものづくり、データ・ドリブン・マーケティングの新しい展開など、プロジェクトがはじまって1 年ながら、マーケティングの未来を示す完成度の高い新しいモデルとして注目を集めています。

 

日本マーケティング大賞 地域賞

関西におけるインバウンド消費の原動力 新関西国際空港株式会社/関西地区

 

受賞理由

開港20 年を超えた関西国際空港は、LCC(格安航空会社)の就航数日本一や貨物ハブ拠点の構築など、時代の流れに沿った施策を採用したことで大きく伸長しました。中でも関西国際空港を拠点とするLCC「ピーチ・アビエーション」は、国内LCC 4 社唯一の黒字経営会社です。(2015 年3 月期) インバウンドに直結する国際線利用者数は15 年1~12 月で前年比24%増の1625 万人の過去最高記録を達成。訪日外国人数は1001 万人と59%増、中国、香港、台湾、韓国からの入国者数は成田空港を抜いて日本一と関西地区へのゲートウェイとして地域活性化に大きく貢献しています。

 

外国人視点でつくるインバウンドキャンペーン「OKINAWA : The Secret is Out」
沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課/九州・沖縄地区

 

受賞理由

沖縄への外国人観光客誘致を目的として、欧米豪露、東南アジア、中国市場をターゲットにしたウェブサイトを作成し、デジタルコンテンツキャンペーンを実施して話題になりました。コンテンツ制作を外国人スタッフで構成し、「日本人が伝えたい沖縄」ではなく「外国人が魅力に思う沖縄」を描き出すことで、徹底的に外国人視点にこだわった仕組みをつくったことが評価につながっています。キャンペーン開始後の約2 か月で動画関連記事インプレッションは2000 万回、シリーズ動画総再生数180 万回を獲得、沖縄への海外旅行者数は前年比168%で過去最高を達成しました。

 

テレビ「森崎博之のあぐり王国北海道」を通じた北海道農業のブランド向上
北海道放送/北海道地区

 

受賞理由

世界でも珍しい「生産者を主役に据えた農業メッセージ発信番組」として8 年前からスタートした「森崎博之の あぐり王国北海道」は、農業関係者はもちろん、多くの一般消費者からも支持を得る長寿番組です。北海道内だけでなく国内放送網を拡大したほか、香港、台湾、タイでも放送を開始し、北海道農業の魅力を発信、食と観 光を通したインバウンド観光客の増加に貢献しています。北海道の食の安全と食育の大切さを発信している点 も高い評価の一因です。

 

 

◆日本マーケティング大賞の設立趣旨

当協会は2007年10月の創立50周年を記念して「日本マーケティング大賞」を設立。2009年6月に第一回表彰式をしました。組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、社会や消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的としています。

対象活動
市場に新しく需要を喚起し、あるいは市場を再活性化した優れた商品もしくはサービス

<対象活動の具体例> 

a 新たにマーケティングの概念を取り入れた企業やNPO、自治体等の活動
b 生活者・社会との共存・共生/社会的課題の解決に貢献した活動
c 日本の伝統文化やサブカルチャーを巧みに取り入れた活動
d  IT やソーシャルメディアを活用した活動
e マーケティングにより成熟市場にブレイクスルーをもたらした活動
f グローバル市場で成果のあった活動
g 新しいビジネスモデルの構築
h 国内外、産・官・学とのコラボレーションを取り入れた活動、または生活者との共創
i BtoB ビジネスや専門市場におけるマーケティングとして際立った活動
j 規模が小さくても、キラリと光る活動
k その他の優れたマーケティング活動


対象範囲
日本市場における企業・団体・組織の活動、および日本法人の海外市場での活動
(自治体・NPO・大学・病院なども含みます

 

 

2015.10月現在
(敬称略)

実行委員長 後藤 卓也 JMA会長(花王㈱ 前会長
実行副委員長 嶋口 充輝 JMA理事長(慶應義塾大学 名誉教授)
委 員 俣木 盾夫 JMA副会長(㈱)電通 相談役)
石原 進 JMA副会長(九州旅客鉄道㈱ 相談役)
村田 正敏 JMA副会長(北海道新聞社 代表取締役社長) 
服部 一史 JMA副会長(㈱電通 取締役執行役員関西支社長)
石橋 正明 JMA専務理事

     

選考委員長 原 敏郎 毎日新聞社 常務取締役営業部門担当
選考副委員長 鎌形 太郎 ㈱三菱総合研究所 執行役員プラチナ社会研究センター長)
委 員 恩藏  直人 早稲田大学 商学学術院教授
古川 一郎 一橋大学大学院 商学研究科 教授
清水 馨 千葉大学 法政経学部 教授
清水 信年 流通科学大学 商学部 教授
梅津 順江 ㈱ジャパン・マーケティング・エージェンシー シニアディレクター
奥澤 勇 花王㈱マーケティング開発部門マーケティングリサーチセンターセンター長 JMA理事
渡辺 和幸 KDDI㈱ コンシューマ事業企画本部コンシューママーケティング1部長
緒方 宏俊 凸版印刷㈱ 情報コミュニケーション事情本部トッパンアイデアセンター
マーケティング本部本部長 JMA理事
平岡 利介 ㈱テレビ東京 営業局専任局長兼営業・事業センター長
廣瀬 哲治 ㈱電通 マーケティングソリューション局専任局長 JMA理事
田中 廣 ㈱博報堂 執行役員 JMA理事
宮内 京子 ㈱ マーケティングイノベーションプロジェクト
マーケティングマネージャ
福田 裕一朗 毎日新聞東京本社 広告局次長
柴田 廣次 ㈱三越伊勢丹ホールディングス 営業本部マーケティング戦略担当長 部長
西宮 正 森永製菓㈱ 上席執行役員 マーケティング本部長
北村 真一郎 日本経済新聞社 クロスメディア営業局 局次長

運営事務局 石橋 正明 日本マーケティング協会 専務理事
  塚田 宗紀 日本マーケティング協会 事務局長
  白根 有一 日本マーケティング協会 研究開発局長
佐藤 宏 日本マーケティング協会 関西支部事務局長
大坪 満 日本マーケティング協会 九州支部事務局長
大橋 利彦 日本マーケティング協会 北海道支部事務局長
竹原 聖人 日本マーケティング協会 営業企画部長
服部 峰郎 日本マーケティング協会 研究開発局課長
河西 章宏 日本マーケティング協会 関西支部業務推進局長
小島 弘雄 日本マーケティング協会 関西支部業務推進部課長