価値観マーケティングで商品と売り場を読み解く(スーパーマーケット編)

価値観マーケティングで商品と売り場を読み解く(スーパーマーケット編)

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2022年7月号『時間と距離を越える学びの未来』に記載された内容です。)

 

コロナ禍での景気減速や原材料高騰の中、価格が重視される傾向に
その中でも適切なペルソナ設定による価値を創造することで顧客獲得の可能性

株式会社ロイヤリティ マーケティングは「価値観でみるブランディング―価値観マーケティングで商品と売り場を読み解く―」というウェビナーを2022年3月31日に実施いたしました。ビールメーカーとスーパーマーケットを事例として価値観を活用したターゲット分析の結果を公開いたします。

 


1.価値観マーケティングとは?


 

多様化が進む現代において、性別や年代などの基本属性だけでは顧客を把握することは難しくなっている。そこで基本属性だけでなく生活者の価値観から需要を捉える「価値観マーケティング」が重要となってくる。(下図)

 

価値観マーケティング

 


2.価値観を把握する手法



基本属性だけでなく価値観で顧客を理解するのは重要となるが、顧客のインサイトとなる価値観を把握することは難しい。そこで顧客の価値観を簡単に把握してターゲティングするサービスとして、弊社では「PERSONA+」を提供している。

PERSONA+では5万人に200設問以上のアンケートを実施し、価値観を構成する10因子から、独自で15の価値観クラスターを構築。リサーチで15クラスターを判別できる4設問33選択肢の価値観判別設問を用意。通常の受容性調査や満足度調査に価値観判別設問を加えて調査することで、価値観を絡めて顧客を分析することが可能となっている。

今回のビールメーカーとスーパーマーケットの顧客分析にも価値観判別設問を活用して調査を実施した。

 


 

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査期間: 2022年2月25日~2月28日
パ ネ ル :「Pontaリサーチ」会員
※(Ponta会員で「Pontaリサーチ」の会員登録をしていただいている方)
調査対象: 首都圏在住20~70代の方
有効回答数: 9,736名

 


3.調査結果



TOPIC1
コロナ禍の景気減速や原材料高騰により低価格スーパーが利用も好意度も高い結果に


普段利用するスーパーは大型スーパーの「AO社」、好きなスーパーは低価格が売りの「OK社」が最も多い。普段利用するスーパーも好きなスーパーも上位3社は低価格が売りの「OK社」、大型スーパーの「AO社」、「GS社」。比較的低価格のスーパーが利用も好意度も高くなっている(上図)。

価値観別に好きなスーパーマーケットを比較してもすべての価値観層において「OK社」がトップ。外向的な層は「AO社」「IY社」、中庸的な層は「AO社」、業務用サイズでお得な「GS社」、内向的な層は「GS社」「AO社」が続く。情報感度が高く食への関心が高めな外向的な層においても価格重視の傾向がみられる(上図)。
 


TOPIC2
好きなスーパーの理由は「立地」「価格」が高いものの、食への関心が高い層では商品軸も重視


好きなスーパーの理由としては「立地」が58.1%で最も多く、次いで「価格(56.8%)」「品揃え(44.5%)」となった。立地と価格が僅差となっており、コロナなどによる景気減速で価格重視の傾向がうかがえる(上図)。

価値観でみても、トップは「立地」、次いで「価格」だが、外向的な層は「品揃え」「商品の魅力」「鮮度・味」など商品軸の理由も重視。情報感度が高く食への関心が高めな外向的な層は価格だけでなく商品価値も選定基準となる傾向(上図)。


TOPIC3
食への意識が高い商品重視層には低価格売りではない商品価値重視のスーパーが支持される傾向


特に、商品の魅力を重視している層に絞って価値観を比較すると、情報感度が高く食への関心が高めな外向的な層の中でもCL1、CL8が商品の魅力を重視する傾向がみられた。こだわりも強いタイプのため、価格だけでなく商品を重視していると考えられる(上図)。

商品の魅力を重視する層では好きなスーパーのトップはワインやチーズなど品揃え多彩な「SI社」。品揃え充実で惣菜が特徴の「YK社」、輸入物が充実の高級スーパー「KK社」、オリジナル商品も多く取り扱う「QI社」も上位へ進出。商品価値を重視する層では商品価値重視のスーパーの好意度が上位となる(上図)。

コロナなどによる景気減速や原材料高騰による値上げの影響で全体的に価格重視の傾向になっているが、その中で価格競争だけに飲み込まれないためには適切なペルソナ設定による価値の創造が必要。価格だけでなく商品の魅力などの価値も重視し、情報感度が高くアクティブなインフルエンサータイプの外向的な層に向けたマーケティングが重要となる。

  

ウェビナーではさらにブランドごとの分析結果も報告しております。また、本コラムでは企業名を伏せさせていただいておりますが具体的な内容にご興味のある方は、株式会社ロイヤリティ マーケティングビジネスデザイン部担当部局までお問い合わせください。
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  公開レポート: https://biz.loyalty.co.jp/report/
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