アフターコロナの“真の競合”とは? ~顧客変化を捉え、真の競合に対抗する戦略を組み立てる~

アフターコロナの“真の競合”とは? ~顧客変化を捉え、真の競合に対抗する戦略を組み立てる~

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2021年7月号『制約上等!』に記載された内容です。)

過日、株式会社コレクシアと株式会社東急エージェンシー(以下、TAG)共催で実施されたウェビナーについて紹介する。コレクシアは消費者行動の専門家として、顧客理解を起点とした分析を得意としており、TAGは消費者行動論も取り入れたコミュニケーション開発を得意としている。今回のウェビナーでは両社の強みを活かし、コロナ前後によるトレンドの変化、コロナ禍後を見据えたマーケティング戦略はどうあるべきか、について説明された。ここでは、その元になる手法について、いくつか取り上げる。

 


1.動機・関与グリッドとは?


 

まずはTAGが開発した「動機・関与グリッド」について説明だ。岸 志津江教授(東京経済大学)とTAGが20年前から共に開発してきたカテゴリー分類法である。定量調査でカテゴリーごとの購買動機と関与度を聴取し、「動機スコア」と「関与スコア」という独自の指標を算出した後、「購入の動機」と「関与(=購入するための意思決定のハードル)」という2軸を使って、カテゴリーを4象限に分類する。(下図)





これにより、コロナ前後の局所的なトレンド変化だけでなく、20年にわたる大局的なトレンド変化も観測することができる。ここでは2000年、2010年、2020年の調査で分かった主な変化を紹介する。

①購入の動機基準でのポジション変化(2000年から2020年)

2000年から2020年にかけて問題解決型のカテゴリーが増え、偏りが見られた。これに対してTAGでは不景気などの影響もあり気持ちをさらにプラスにさせる「正の情動」を求めるよりも、目の前の問題を効率的に解決したいという「負から正への情動」の方が発生機会が増え、さらに、新型コロナの影響もあって、不安感などが高まった影響ではないかと分析している。

②関与基準でのポジション変化(2000年から2020年)

2020年は全カテゴリーで関与が上昇しており、メディア環境の変化が要因ではないかと分析。  Web検索やSNSなど情報収集や比較することが容易になり、意思決定ハードルがこれまで低かったカテゴリーでも高まったようだ。その結果、消費者は単純なカテゴリー内の比較ではなく、カテゴリー外含めた広範囲で比較検討し、商品を購買するようになっていると推察される、とのこと。

■動機関与グリッドを使って分かること

この手法ではカテゴリー分類から“競合”は何かを見定めることが幅広く柔軟にでき、戦術まで展開できる示唆が得られるため、戦略検討に活用しやすいメソッドになると述べられた。

 


2. 顧客体験を理解し、認識変化を促す手法


 

①ナラティブアプローチとは?

ナラティブとは社会学・心理学領域で研究され、特に医療領域で活用されているが、株式会社コレクシアの村山は医師と患者の関係がマーケティングに当てはまると考えている。患者と同じように消費者は自分が本当に欲しいモノを明確には話すことは難しいが、自分の現在の状態を話すことはできる。医師となるマーケターはその消費者の内在する考えや欲求を掴み、それを元に施策を考える。そのため、医師と患者の関係がマーケターと消費者の関係に似ていると考えている。

これにより、市場調査等から顧客が感じる「新しさ」や「価値のある体験」とは何かを分析して、ブランドが起こすべき顧客の行動変容や態度変容の「設計図」を作成することで、顧客にとっての「今までにない新しい価値」を受け入れてもらう手法がナラティブアプローチとのこと。

②ナラティブアプローチで顧客体験を理解する

まずは自社ブランドの顧客体験を抽出し、その中から「お手本となるような、顧客が購入・利用してくれるようになった上手い認識変化は何だったのか?」をナラティブ分析して、それを施策で再現することで、次の顧客にも「新しい価値を認識させ行動を促す」ことができると説明。(下図)






③顧客がブランドを受け入れた認識変化をアクセプターモデルで捉える

コレクシアでは顧客がブランドを受け入れた認識変化を「アクセプターモデル」を用いて理解しようとしている。どのような体験をしている人で、どのような課題が発生して、どのような商品・サービスが自分の課題を解決してくれそうだと受け入れて、どのように生活が変化してゴールを達成できたかを把握できる仕組み。

この「現状体験」→「課題感の発生」→「受容価値」→「生活変化」といった流れを整理することで、そのまま施策にも使えるし、CMのようなアウトプットにも応用できる。また、コレクシアではこのモデルに沿ってナラティブが取得できるようにアンケートも設計しているようだ。

 

ウェビナーではこの他にも実践的な事例が数多く紹介しております。興味がある方は当日の資料をお渡しをいたしますので、下記の担当者にお問い合わせください。
株式会社コレクシア
ウェビナー担当:宗行(むねゆき)  御連絡先:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。

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