今回で2度目の発表となる調査「レイキャビク・インデックス・フォー・リーダーシップ」では、カンターの「レイキャビク・リーダーシップ指数」を活用し、個人の適性の観点から組織トップや組織内で権限を持つポジションに対して、どの程度「男性と女性が等しい」と思われているかを測定しています。この指数では、社会のあらゆる産業・分野のリーダーとして男性と女性が等しくある状態を100とし、100を下回るスコアは、ある程度の偏見がその社会に存在することを表しています。
本日公開する調査データによると、リーダーシップにおける男女の平等性ついて、これまで平等性が低かった日本、ドイツ、イタリアで改善があった一方で、平等性が高かったアメリカとイギリスが後退したことも明らかになりました。
【G7諸国のレイキャビク・インデックス・フォー・リーダーシップ 2019】
諸外国(G7諸国) | 2019年インデックススコア | 前年比 2018年スコアと比較 [注1] |
カナダ | 77 | 1 |
フランス | 77 | -0.5 |
アメリカ | 75 | -1 |
イギリス | 73 | -4 |
日本 | 70 | 3 |
ドイツ | 69 | 3 |
イタリア | 68 | 5 |
Source:kantar
注1:インデックスの計算は2019-2020年に簡素化。 2018年と2019年の調査結果の比較では、指数算出の際、2019年の方法が使用されています。
また、2019年より加わったブラジル、中国、インド、ロシアを含めたすべての調査対象国において、男性よりも女性のほうが「リーダーシップに対する適性は男女平等」と考える傾向が見られました。男女間での見解の差については、ロシアの3ポイントからイギリスの11ポイントまでと幅がありました。
■日本の調査データ
日本は昨年と比べ3ポイントの改善となりましたが、依然として偏見は根強く、行政や民間でリーダーシップを取る女性を受け入れることが難しいと感じる男性が多いという結果が出ています。女性が行政府の長を務めることについて「とても良いことだ」と回答した女性は32%だったのに対し、男性では27%でした。女性が大企業のCEOであることについても、同じく女性は36%であるのに対し、男性は29%にとどまっています。
ただ、国際的スポーツ団体の分野で日本は、カナダやフランスを抜いてトップスコアの81となっており、緩やかながらも着実な変化を遂げています。ほかにも、政界の女性登用では衆議院で女性議員が占める割合はわずか10%ながらも、2019年4月の統一地方選挙では、女性議員が史上最多の当選を果たすなど、将来にとって良い兆しが見えています。
■他国の調査データ
・アメリカでは、2018~2019年にかけて政治・行政(82→77)、司法(85→80)、外交(79→74)、政治・経済(86→81)と複数のセクターでスコアが下落しました。
・イギリスでも、男性の認識が悪化したことで全体のスコアが下落しました。とくに「リーダーシップに対する適性は男女ともに等しい」と回答した男性の数が8ポイント落ち込んだ結果、男女間での見解の差も2018年の3ポイントから2019年には11ポイントに拡がりました。
・レイキャビク指数は、女性差別だけでなく、男性差別を測る物差しでもあります。今回、男性差別の偏見が最も強かった分野は「保育」で、G7諸国を通じて最低のスコア(平均54)でした。特に、新たに対象国となったブラジル(43)、ロシア(30)、インド(34)、中国(19)で最も低いスコアを記録しました。
・イタリアでは、防衛・警察(11ポイント増)と教育(10ポイント増)で女性のリーダーシップに対する偏見が改善した一方で、ドイツでは、ファッション・美容(10ポイント増)とヘルスケア・福祉(7ポイント増)で男性のリーダーシップに対する偏見が減少したことが全体のスコアを改善する要因となりました。
・ロシアと中国では、金融が(ロシア70、中国67)と、比較的高いスコアを示す一方で、エンジニアリング(ロシア22、中国23)、自動車製造(ロシア25、中国25)で女性のリーダーシップに対する偏見が極めて高いレベルにあることが明らかになりました。またインドでは、教育(76)とメディア&エンターテイメント(78)で高いスコアとなりました。
今回の結果についてWPLの創設者であるSilvana Koch-Mehrin会長は、次のように述べています。
「2018年にレイキャビック指数が発表されて以降、女性たちはどんな分野で、なぜ平等と見なされていないのかを議論できるようになりました。レイキャビク指数から得られるエビデンスをもとに女性のグローバルコミュニティーをさらに充実させ、あらゆる分野でリーダーシップの男女平等性を高めていきたいと考えています」。
また、カンターのPublic Division Global CEOであるMichelle Harrisonも次のように述べています。
「社会規範を評価するうえで、エビデンスは欠かせないツールです。エビデンスがなければ、自分たちのリーダーや自分たちの行動に対して責任を問うことはできません。今回、新たにブラジル、ロシア、インド、中国が対象国に加わったことで、さらに世界でのエビデンスの活用が進むことになりました。今回の調査では、どの国でも男女平等が根付くまでにまだ時間がかかることが明らかになりました。私たちは今後もレイキャビク指数を活用することで社会課題の解決に貢献していくつもりです」。
※本文を引用される場合は、出典が「カンター」であることを明記してください。
■本調査について
調査は、G7諸国に加え、今年からブラジル、中国、インド、ロシアの全11か国の男女を対象としており、各諸国の就労者(18-64歳)に対して、2019年7月/8月にカンターが実施した調査をもとに作成されています。
今回の調査による各国のレイキャビク指数は、2019年11月18日から20日にアイスランドのレイキャビクで開催されるウーマン・リーダーズ・グローバル・フォーラム(Women Leaders Global Forum)で正式に公開されます。
■Women Political Leaders (WPL)について(https://www.womenpoliticalleaders.org/about/)
WPLは、女性政治家のグローバルネットワークです。WPLのミッションは、政界でリーダーの地位にある女性の人数と影響力を拡大していくことにあります。WPLのメンバーは、大統領、首相、閣僚、国会議員など、政治的要職にある女性たちで構成されており、メンバーシップは無料で、WPLへの参加自体がメンバーの栄誉となります。
■カンターについて (Global Webサイト:www.kantar.com Global Webサイト:http://www.kantar.com/ )
カンターは、世界最大規模の広告代理店「WPP」の調査・コンサルティング領域を担う、マーケティングのインサイトとコンサルティングで世界をリードする会社です。 100か国以上、3万人の従業員を擁するカンターは、あらゆる分野の専門的なリサーチおよびコンサルティングにおいて、世界中の企業や政府機関に納得いただけるインサイトとビジネス戦略を提供しています。
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